商標「仏陀」の登録は公序良俗を害する虞あり!?

査定不服2004-24437 条文:4-1-7  審決:請求不成立   審決日:2006/11/27


本願商標は、「Buddha」「仏陀」の文字を上下二段に、普通に用いられる方法で書してなるところ、「Buddha」「仏陀」は、我が国では仏教の開祖、釈迦ともみられるものであって、仏教信者にとってはかけがいのない信仰のよりどころとなるものでもあるから、該文字よりなる本願商標を、その指定商品に使用するときには、「仏陀」の尊厳を損ない、信者の信仰上の感情を害し、ひいては、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるものというべきである。商標法第4条第1項第7号において「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」とは、商標の構成自体が矯激、卑猥なものではなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合も含まれると解されるものである。

登録出願に係る商標が公序良俗を害するおそれがあるか否かについては、査定時又は審決時における社会通念に基づき認定、判断すべきところ、社会通念は時代と共に変化するものでもあるから、それに伴って、従来公序良俗を害するおそれがなかったものがあるようになったり、またその逆もあり得ることであり、過去に登録されたものが常に公序良俗を害するおそれがないとは言い得ないというべきである

さらに商標権は、商標権者が指定商品又は指定役務について登録商標を専有し、同者がいわゆる排他的独占権を有するものであるところ、近時、知的財産に対する認識、評価、さらには権利意識が高まり、権利行使が日常的に行われていることは、当庁において顕著な事実であり商標権においても例外ではないことから、国内における商標権におけるいたずらな紛争を回避する目的においても、仏教の開祖として知られる本願商標については、前記のとおり判断するのが相当である。


 最近多く見られるようになった4-1-7該当例の一つ。