立体商標(マグライト)に「使用による識別性」が認められた!!

審決取消請求事件 平成18年(行ケ)10555号  条文:3-2 審決取消 2007/06/27判決日

結論:使用により自他商品識別機能を獲得したものというべきであるから,商標法3条2項により商標登録を受けることができるものと解すべきである。

2007/5/28に紹介した立体商標とほぼ同一形態の他の出願についての訴訟事件。
審決では商標出願に係る商標は立体のみであるのに、実際使用される際には立体に文字が付されている。よって、立体形状のみの使用によって識別力を獲得したとはいえないと判断されていた。

判決では、
1)「MINI MAGLITE」「MAG INSTRUMENT」の英文字が記載されているが,これらは本件商品全体から見ると小さな部分であり目立つものではないこと。
2)文字「MAG INSTRUMENT」は当該懐中電灯との関連を示すだけの内容であって,当該名称自体に独立した周知著名性は認められないこと。
と認定したうえで、
本件商品に「MINI MAGLITE」及び「MAG INSTRUMENT」の英文字が付されていることは,本願商標に係る形状が自他商品識別機能を獲得していると認める上での妨げとなるものとはいえないと判断

今まで、立体商標に文字がふされた形態で市場にでていた商品につき、立体部分単独では3条2項の適用は一切認められていなかった。この判決は今までの審査の流れを大きく変える可能性あり。

ちなみに、使用による識別力獲得したと認定された理由は以下のとおり。

1)1984年に発売されて以来,一貫して同一の形状を備えて販売されている
2)日本にて、1986年より販売開始。2000年3月期には売上高5億7700万円,本数にして60万7000本,2001年3月期には売上高5億0800万円,本数にして55万1000本売り上げている
3)1985年から新聞雑誌等を中心に多額の広告費用を掛けて多数の広告を掲載
4)需要者の間でも,その堅牢性,耐久性と並んでデザイン性が関心を集めている
5)本件商品の形状を需要者に印象づける広告宣伝が行われていること
6)本件商品と類似する形状の商品は市場において販売されていない