「娯楽施設の提供」とはなにをいう?

取消2006-31057 条文:50 一部取消審決  2007/04/03審決日

「娯楽施設の提供」について求められた不使用取消審判に対し、各種イベントが、当該商標を付した会場にて開催されていることを示す資料を使用証拠として提出したところ、(1)イベント開催等は、会場を貸与する役務あるいは興行の企画・運営にあたるものであって、娯楽施設の提供にはあたらない、(2)会場名が商標と同一だからといって、当該会場にて開催される役務について商標が使用されていることにはならない、との理由から使用証拠として認められなかった事例。

当審の判断(抜粋)
商標法上にいう「娯楽施設の提供」とは、一般的には、役務提供者が役務提供の場所たる施設内に、あらかじめ利用者(顧客)が娯楽を受けるための設備を備え付けて、利用者がその娯楽施設(設備)を利用し、享受する対価として、料金を徴収する役務ということができる。したがって、会議や様々なイベント等を行うために会場を利用する者(顧客)に対し会場を貸与する役務、あるいは当該会場において提供される演芸の上演、音楽の演奏、飲食物の提供等は、娯楽施設の提供には含まれないと解するのが相当である。

商標権者が経営する「PHOENIX SEAGAIA RESORT」のうち、会議、会合、イベント等を催す主催者に貸与する会議室等を備えた「ワールドコンベンションセンターサミット/World Convention Center SUMMIT」について、使用商標が使用されていることは認められるものの、該役務は、「会議室の貸与」、「展示施設の貸与」等の役務であって、本件請求に係る指定役務である「娯楽施設の提供」と認めることはできない。(さらに)乙第2号証ないし乙第9号証において、「ワールドコンベンションセンターサミット」の文字部分の表示が認められるものの、該表示は、イベントが開催される会場の名称としての使用であり、自他役務を識別するための商標としての使用と認めることはできない。

イベント会場の名称に登録商標と同一のものが使われているからといって、かかるイベント開催等の役務に商標が使用されていることにはならないのだ。