旧銀行名を巡る不使用取消審判の攻防

取消2000-312580 条文:50条 取消不成立 2005/06/27審決日

平成8年4月1日に合併により消滅会社となった「旧銀行名」商標についての不使用取消審判(平成12年10月)おいて、「債券についての利息の支払い」等の役務について、「旧銀行名」商標の下で引き続き提供されている事実が認められるとした判断。

当審の判断(抜粋)
たとえ、旧東京銀行が消滅しても、同行が築き上げてきた業務上の信用(グッドウィル)は、たやすく失われるものではなく、被請求人が旧東京銀行の消滅による移行期に債券類につき読替をもって運用する旨の措置を講じたからといって、あるいは、預金通帳を新銀行名に切り替えていたとしても(Q2に対するA2によれば、新銀行の国内全店の窓口ATMで使用の場合は、新通帳に切り替えが必要。)、顧客は、該債券類や旧東京銀行の発したキャッシュカードをもって取引に当たることもできること上記のとおりであるから、本件商標(東京銀行)の付された債券類及びキャッシュカード等が合併後も被請求人の顧客に対し使用可能とし、顧客が、それらを現に取引に際し使用している以上、その使用の事実をもって、被請求人は、本件商標をその役務に使用しているといい得るので、請求人の前記主張は採用することができない。

単純に考えれば取消請求日である平成12年10月20日は「東京銀行」消滅から4年以上が経過。社名変更、会社消滅といって、東京銀行のように大きな企業にいたっては、完全に旧名称での取引が終了するまでかなりの時間がかかるということだ。