「Enoteca」が防護標章とならなかった理由

不服2005-20014 条文:64 拒絶審決  2006/12/26審決日

登録商標を使用している商品は、一般需要者を対象とした商品ではあるが、使用商標は、請求人の取扱いに係る商品「ワイン」の輸入販売、卸売、小売(ワインショップ)のみに使用されている商標であり、その著名性は、一定の限界がある。そして、本願標章の指定商品及び指定役務は、その大部分において、原登録商標を使用した「酒類(薬用酒を除く)」とは、その用途、取引系統、販売場所、需要者層等において異なるものである。加えて我が国においても、「ENOTECA」「Enoteca」「エノテカ」「エノテーカ」」という語を含む飲食店が少なからず存在することが認められ、格別独創性のあるもの(語)ではない

してみれば、請求人が経営の多角化を展開している状況にあることを考慮しても、他人が原登録商標と同一の構成からなる本願標章を本願指定商品及び指定役務について使用しても、該商品及び役務が請求人の取扱いに係る商品及び役務であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできない。

本願標章と使用商標の態様が異なることについて
「原登録商標「Enoteca」と使用商標「ENOTECA」とは、これに接する取引者、需要者において必ずしも容易に区別しうるものではないというべきであって、本件における使用商標の同一性の面からみるならば、「Enoteca」と「ENOTECA」とは同一性を有するものというべきではあるが」と判断しているところが興味深い。