遺族等以外の者による「野口英世伝説」出願は公序良俗に反する

不服2005-5730  条文:4-1-7 拒絶審決 2006/12/26審決日


30類:菓子およびパン(商標公報より)

本願商標全体から「野口英世に関する伝説・風説」の観念が生ずることを否定するものではないとしても、(中略)「野口英世」の著名性をかんがみれば、本願商標は、指定商品の取引者、需要者に故野口英世博士の氏名を含むものと容易に認識されるというべきものであるから、遺族等の承諾を得ることなく本願商標を指定商品について登録することは、世界的に著名な死者の名声に便乗し、指定商品についての商標の使用の独占をもたらすことになり、場合によっては、故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるといわざるを得ない。

著名人の名前にあやかった商標について4-1-7に該当と判断された例には「ダリ/DARI」事件がある(平成13年行ケ443号)。「生前から著名であって、その死後、該当商標の登録査定時にも著名性を維持している、そうした名称について他人が遺族等の承諾なしに登録することは世界的に著名な死者な名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして公序良俗を害するものといわざるを得ない。」この審決は、「ダリ」判決を引用している。