「エステ」は「美容」か?(その2)

平成18年(行ケ)10349号 条文:50条 審決取消判決(不使用取消成立審決の取消判決) 2006年12月25日判決言渡

いわゆる「エステ」関連役務は「美容」に該当しないとした不使用取消審判の審決を取り消した事例。

事件の概要
被告は原告の所有する登録商標につき、その指定役務の一部である「美容,理容」について不使用取消審判を請求した。原告はいわゆる「エステ関連」役務について該商標を使用している旨証明したが、「エステ」は「美容,理容」の範疇外であるとして、使用が認められず、不使用取消審決が出された。これを不服として原告側は出訴。

裁判所の判断(抜粋)
指定役務「美容」への該当性の有無
不使用取消審判の請求の対象となっている登録商標を現実に使用している役務が,当該登録商標の指定役務に該当するか否かは,単に,その名称・表示等の形式のみによって判断すべきではなく,当該役務の取引者及び需要者の判断を基準として実質的に判断すべきものと解される。

本件商標の指定役務である「美容」は,容姿を美しくする役務であって,パーマネントウェーブ,結髪,化粧がその例として挙げられるが,それらに限られるものではなく,社会通念上,容姿を美しくするものとして,「美容」ということができるものであれば,広く含まれると解されるところ、
?原告が行っているリンパドレナージュは,全身のマッサージであって,体調不良の解消や痩身のほか,吹き出物・肌荒れの防止をも目的としてされるものであること,
?原告は,顔の肌をきめ細かくつるつるにする施術,顔の肌のシミやソバカス,古い角質や汚れを除去する施術を行っていること,
?原告は,各店舗において,眉のメイクや立体まつげカールも行っていることが認められる。
そうすると,原告が各店舗において行っている施術には,顔の肌を美しくすることにより容姿を美しくする施術,眉のメイクやまつげのカールにより容姿を美しくする施術が含まれているから,本件商標の指定役務である「美容」の役務を提供しているものと認めるのが相当である。

審査基準の解説には「美容」=「パーマネントウェーブ,結髪,化粧の方法により容姿を美しくする役務」「理容」=「頭髪の刈り込み,顔そりの方法により,容姿を整える役務」とある。むむっ。「等」って意外と見逃せない。