請求人の著名な芸名と同一である商標「TWIGGY」登録は無効。

無効2006-089115 条文:4-1-8 無効審決 2007/04/16審決日

請求人の主張(抜粋) 被請求人の主張(抜粋) 当審の判断(抜粋)
本件商標は、「TWIGGY」の欧文字よりなり、請求人の芸名は、「TWIGGY」又は「Twiggy」であるから、本件商標と請求人の芸名とは同一であって、本件商標に請求人の芸名が含まれることは明白である(よって4-1-8に該当する) 請求人は、略40年前のパブリシティから2004年ころまでの単発的パブリシティを挙げて、「TWIGGY」の有名性を主張するが、その当初の流行性は首肯できても、その後の社会の変遷は著しく、「TWIGGY」なる名称は、希釈化、若しくは普通名称として認識されるようになっている。すなわち、英語が広く世人に知れわたっている昨今において「小枝のような、ほっそりした、小枝の多い」という観念でとらえられている。したがって、第8号の名称以外の観念を生じることは明らかである。 請求人の芸名である「TWIGGY」は、「ツイギールック」という言葉に代表されるように、ミニスカートというファッションスタイルと密接な関係を有するものとして、我が国のファッション関連の需要者のみならず、一般の需要者の間においても、広く認識されているものである
著名な氏名等の略称に該当するかどうかは商品との関係において相対的に判断しなければならないところ、請求人の「TWIGGY」は、本件商標の指定商品と直接関係を有しないから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、世人をして混同誤認を来たすおそれはなく、不正競争を生ずるおそれもないし、また、「TWIGGY」の語は、英語が広く世人に知れわたっている昨今においては、「小枝のような、ほっそりした、小枝の多い」という観念でとらえられているから、商標法第4条第1項第8号に該当しない 本件商標が他人の業務に係る商品と出所の誤認、混同が生ずるおそれのある商標であるか否かの問題は、商標法第4条第1項第8号該当性を問題としている本件においては、別論というべきである

当審の根拠
「商標法4条1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号,15号等の規定とは別に,8号の規定が定められていることからみると,8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても,一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,本人の氏名,名称と同様に保護に値すると考えられる。そうすると,人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても,常に,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる」(平成16年(行ヒ)第343号、最高裁判所第二小法廷平成17年7月22日判決言渡)

「Twiggy」の初来日を知っている人は、きっともういいお歳の大人です。